22.04.2010 概要
 

LED効率を最高に導く ‐ オスラムの新素子技術 UX:3

自動車ヘッドランプ、一般照明、ポケット・プロジェクタなどの高出力LEDアプリケーションでは、これまで以上の明るさが求められています。LEDは、一般的に高い駆動電流を印加すれば高い輝度が得られますが、電流が高くなるほど様々な物理的要因によりLEDの発光効率は低下してしまいます。したがって、高電流印加時の高効率化が、より明るい高出力LED実現の鍵となります。オスラム オプトセミコンダクターズの新世代高出力素子の特長は、n型半導体へコンタクト電極を埋め込むことで、“より高い発光効率”を達成したことにあります。さらに、後述するように、オージェ再結合を減らすことで、高電流時の効率低下を抑えることにも成功しています。

LEDの発光効率には主に2つの要素があります。1つは“光子の生成”つまり素子内の活性層領域で光を作り出すこと、そしてもう1つは“光取り出し”と呼ばれる、素子からの光の抽出です。電力変換効率は、光出力と入力電力の比率に基づく一方、量子効率というのは、発光するフォトンと注入された電子に対する比率を表します。

オスラムの新高効率UX:3素子は、最適な光抽出を実現するために活性層の下部に形成した金属反射ミラーと計算された散乱表面を持つThinGaN技術がベースになっています。オスラムでは、この最適化構造により、すでに75~80%の光取り出しを達成しています。

光取り出しの向上

既存素子において、光抽出の障害の1つに素子表面に電流を流す金属のn型コンタクト電極があります。そのグリッドが光を吸収し、発光面積を減少させてしまいます。この問題は、グリッドのスペースを広げたり、電極幅を狭くしたり、金属コンタクト面積を縮小することで抑えることができます。しかし、その副作用として、電流の拡散効果を損なってしまいます。薄いn型GaN層では、端部まで電流拡散が行き届き難いことが高出力LED素子の主要課題となっていました。

オスラムは新たな手法により、すべてのコンタクト電極を素子内のp型コンタクト層の下に埋め込みました(図1参照)。p型材料を貫通しているビアが、n型層を結び付けています。p型コンタクトは高反射の銀ベースの層から構成されています。n型コンタクトとミラー層との間の絶縁層が、2つの電極のショートを防ぎます。

オスラムは、成長したエピ構造物をキャリアと呼ばれる支持基板に接合し、結晶成長時の基板を除去することでThinGaN素子を製造します。キャリア接合プロセスの設計と制御が、均質な熱拡散を持つ、機械的に安定した素子の構築の鍵となります。この新素子は、温度サイクル試験および高温高湿でのストレス試験を含む、自動車用途向けの認定要求を満たしています。

素子内部に埋蔵されたn型電極は、より高い量子効率を達成することを可能としました。さらに、エピタキシャル構造を改善することにより直列抵抗を抑え、素子内部の電気抵抗損失を減少させます。これが最終的に電力変換効率を向上させることにつながりました。このように、新たな素子設計により、1 x 1mmサイズの素子が、パッケージや熱管理にもよりますが、最大3Aでの駆動が可能となりました。

高電流時の効率損失の削減

駆動電流が増すごとに、高出力LEDは効率の落ち込みや低下に直面します。この影響を及ぼす原因については議論の余地がありますが、オスラムの研究成果により、オージェ再結合が起因していると結論付けています。これは、発光を伴わない非放射再結合です。これらのキャリアはオージェ過程で起こるフォトン生成を阻害する効果として作用します。その結果、光生成の効率を低下させます。オージェ再結合はLEDから完全に除去することはできませんが、減らすことは可能です。その発生確率はキャリア密度の3乗に比例するため、活性領域のボリュームが増えれば影響を減らすことができます。オスラムの新UX:3素子技術は、多重量子井戸デバイスの電流密度を最小限化し、この手法を用いています。

成功結果

測定結果によって新しい設計の効果を検証します。440nmの光を発する1 x 1mmサイズの素子は、最大外部量子効率68%を示しました。素子は350mAで640mW、3 Aで3.2 Wの光を出力します。蛍光体でコーティングされた白色素子では、最高効率である136lm/Wの白色の光を出し、3Aで最大830lmを出力します。新技術を用いた緑色LED(523nm)は、200 lm/W以上の最高効率を示しています。これらは350mAで117lm(100lm/W)、1Aで224lmの光を出力します。こうしたデータから、これらのLEDがRGB光源を使用した高性能プロジェクションシステムに最適だということが分かります。

高電流密度であっても、UX:3 LEDの配光出力パターンは駆動電流によって変化しません。このため、この設計は、プロジェクションや照明アプリケーションと同様に、自動車ヘッドランプシステムなどの外部光学系に最適なのです。素子は表面発光型であるため、これらの光出力は拡張可能です。また、複数の素子を使用して均一発光の高輝度マルチ素子アレイにすることも可能です。

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図1: オスラムの第1世代ThinGaN LED素子は、デバイス上部の金属グリッドによって光が吸収され発光領域も減少していました。最新の設計ではエピにn型電極を埋め込むことで、この問題を改善しました。

写真提供: オスラム
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図2: オスラムは、図のように電流が高くなるにしたがってIe/Iの線を横ばいにするLED効率低下の問題に対し、非常に低い電流密度を持つ多量子井戸型活性層を用いて取り組みました。デバイスのオージェ再結合を削減しています。

写真提供: オスラム
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図3: オスラムのOSLUXはUX:3技術を用いています。

写真提供: オスラム
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